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2011年12月30日(金)更新

よろこび上手

生きるヒント―自分の人生を愛するための12章 (角川文庫)
生きるヒント―自分の人生を愛するための12章 (角川文庫)


お正月に読もうと思って買った本が何冊かありますが、
五木寛之さんの「生きるヒント1」を少し読み始めると
とても共感する内容が冒頭から書かれていましたので
これを今年最後の投稿としようと思います。


<よろこび上手>

とは、表現のテクニックではない。
よろこぶ、という一点において上手か下手かということです。

この暗愁にみちた人生をはげましてくれるものは、日々のよろこびです。
それ以外にはありません。


・・・中略・・・

以前、一日に一回よろこぼう、と考えたことがありました。ちょうど男の更年期にあたる時期で、毎日がとてもしんどく感じられたころのことです。一日に一回、どんなことがあってもよろこぶ。そう決意しました。

そして、それを手帳に書くことにきめました。そのために新しい日付入りのて手帖を買いこんだのです。

さて、あらためて一日の中で心がキラッと光るような、よろこびの瞬間を集めようと意識してみますと、これがなかなかにむずかしいものなんですね。

しかし、日がたつにつれて、少しずつ慣れてきました。あまり大きなよろこびだけをみつけようとするから戸惑うのだとわかってきたのです。実際にそのころ、手帖に書きつけたよろこびのコレクションは、今読み返してみますと、じつにたあいのないものばかりであるのに驚きます。


たとえば、

「きょう新幹線の窓際の席にすわってので、富士山が真正面に良く見えた。うれしかった」

などと走り書きしてあります。

「デパートで買ったボールペンが、じつに書き心地がよい。とてもうれしい」

だとか、

「いつになくネクタイが一回で形よく結べた。こんなにうまくいくなんてめったにないことだ」

「小松空港で鱒寿司を買おうと売店にいったら、最後の一箇が残っていてラッキーだった。うれしかった」

「BBC制作のテレビ・ドキュメンタリーがすばらしかった。いいものを見た」

などなど。


比較的多いのは、恥ずかしながら食べもののことです。安くて旨いものに出会って、しきりに感激しています。人間とは入れて出す存在である、などという言葉があるくらいですから、しかたないですね。

こんなふうに、その気になってよろこぼうと身構えていますと、よろこびはおのずからやってくる感じがある。よろこびたい心の触手を大きくひろげて待ちかまえていることが大事なんですね。

・・・中略・・・

よろこぶ、というのも一つの習慣なんじゃないでしょうか。それに習熟することが必要な気がするのです。

・・・中略・・・

私たちは、よろこびをもって生きたい。それを持っているだけではなく、自分からさがし出すことに慣れなければならない。どんなにつまらないことであってもいい、それをきょう一日の収穫として大事にしたい。

<よろこび上手>こそ苦しい世に生きてゆく智恵なのだ、とぼくは自分の体験から思うのです。



いかがでしょうか?

五木寛之さんほどの大作家であれば、印税で何不自由ない暮らしだろうと推測できますが、そんな五木さんの「よろこび手帖」には何だかうれしくなりました。

人間って、どんな人であっても、自分から、よろこびや幸せを感じる意外には、よろこびを得ることは出来ないんだ。
年収の問題ではないんだ(^^;;


<よろこび上手>

今年の最後にとっても素敵な言葉を頂きました。
五木寛之さんありがとうございます。

これから、小さなよろこび、小さな幸せを積み重ねて人生を素敵にして生きたいと思いました。


皆さんは、よろこび上手、ですか?



さて、今年は9月よりブログを少し真面目に継続してきました(^^;
たくさんの皆さんにお読み頂き本当にありがとうございます。
心より感謝いたします。

来年も、地道に書いていきますので、気が向いたら読んでやって下さい。


 
寒い日が続きますが、お身体ご自愛頂き、
穏やかで、心豊かなお正月をお迎え下さい。


ありがとうございました。

                      むらかみ はじめ





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